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読んだ記事のあれこれを書いていきます

ヒューストンの笛吹き男と宇宙ゴミ箱ドラマー

はじめに

この記事はあくあたん工房 Advent Calendar 2019 - Adventar 7日目の記事です.前日の記事は あ君の「OpenCVでカメラキャリブレーションをする」です.

今年ももう一年の終わりを意識しだす時期になりました.その折にアドカレのお誘いを受けたので書かせていただきます.「今回はネタはなんでもいい」そうなので自分の趣味に関連した話題にします.今回は,「野球」について現在進行形で大問題となっていることについてお話ししたいと思います.野球のルールを知らない方でもたぶん楽しめる(?)内容になっているので,是非お付き合いください.

その前に

今年は野球界にとって大きな一年だったのでまずはそこから振り返りたいと思います.日本人にとっては「イチロー選手の引退」が一番大きな出来事でしょう.メジャーリーグ(以降,MLB)の日本人野手(簡単に言えば守備と打撃をする人のこと)の道を切り開いた人物でした.引退会見はもちろんのこと草野球でも話題を提供してくれており,これからメディアの露出も増えるかもしれません.

また大谷翔平選手も5月から復帰し,来季は再び投手としての活躍が楽しみになっています.

同月,元メジャーリーガー上原浩治選手が引退を発表し,今年はMLBの話題が多く届けられた年でもあります.

さて,そんなMLBですが実は今,大問題が発生しています.問題の内容はズバリ,「サイン盗み」です.「なんじゃそりゃ?」と思った方もご安心ください.それでは見ていきましょう.

サイン盗みとは?

そもそもサイン盗みとはなんでしょうか.まずは最も簡単でよく知られた方法によるサイン盗みを解説します.ここで解説のためにサイン盗みに関係する登場人物を紹介しましょう.ここではAチームが守備,Bチームが攻撃をしている状態を想定します.

  • 投手(ピッチャー) : Aチーム

    ボールを捕手に向けて投げる人.捕手のサインに対して投球の際の球種を決定する.大抵,投手からサインを出すわけではなくうなずきなどでキャッチャーのサインに対して肯定・否定の意思を見せる.

  • 捕手(キャッチャー) : Aチーム

    投手から投げられたボールを受ける人.座った状態で投手に対して,サイン(なるべく相手に見えないように股の間で手の形を変えるのが普通)を投手に伝える.ちなみに僕が一番好きなポジション

  • 打者(バッター) : Bチーム

    投げられたボールを打つ人.キャッチャーの方を見ることは違反とはならないが,通常は暗黙の了解として見てはならない多分ガン見してたら乱闘騒ぎになりかねない.

  • 走者(ランナー) : Bチーム

    ヒットもしくはフォアボール等によって塁上にいる人.この人物がホームベース(キャッチャーの前にある塁)を条件を満たして踏めば得点となる.打者から走者は見えており,走者は打者そして投手と捕手が見えている.走者はキャッチャーのサインとそれに対する投手の反応を目視可能である.ただし,目視可能であるからといって,走者が打者になんらかの形で伝達することは禁止されている

さて登場人物が出揃いました.これで何が言いたいかは大体察していただけたと思うのですが,要するに基本的には「塁上の走者が打者になんらかの形でキャッチャーのサインを盗み見て球種・コースを特定すること.加えて,捕手のサインに対して投手が肯定する動きを見せた場合,特定した情報を守備チームにバレないように打者に伝達すること」がサイン盗みなわけです.違反と思しき行為があった場合は警告や退場などの罰則が科せられます.これはMLBに限らず,NPB(日本のプロ野球)や高校野球でも変わりません.高校野球ではしばしばサイン盗みの疑惑がかけられる高校が数年に一度出現します.

疑わしい行為は...やめようね!

MLB史上最強打線登場

さて,ここからが本題です.今回の大問題の渦中のチームに登場してもらいましょう.疑惑がかけられているのはヒューストン・アストロズです.アメリカのヒューストンに本拠地をおくチームで2017年にワールドシリーズ*1で優勝もし,近年躍進を遂げた*2チームです.そして2019年シーズンの打撃成績をご覧いただきましょう.

順位 打率 本塁打 打点 勝利
1位(ア・リーグ西) .274(1位) 288(3位) 891(3位) 107(1位)

ここは野球に詳しくない人にはわかりづらいかもしれませんが,輝かしい(というよりとんでもない)成績です.順位を除いて成績はすべてア・リーグ(MLBア・リーグナ・リーグに分かれています.両者は大きく変わりません.)でのものです.順位だけはア・リーグで3地区に分かれて戦うので.分かれたうちのア・リーグ西地区(他に中地区,東地区がある.)の成績です.ア・リーグは全部で15チームあり打者成績が全てにおいてトップクラスであることがわかります.MLB史上最強打線と呼ばれているのですが納得のいく数字でしょう.

さて,異常とも言うべきこの成績(過去3年は同様の成績を叩き出している)に疑念を抱いた人たちがいるわけですね.さあ,答え合わせの時間だ.

最強打線のからくり

現在,MLBで大問題になっているサイン盗みは前述のものとは大きく異なります.しかも具体的な方法がいくつか判明しています.さて,アストロズにかけられている疑惑(というよりもう黒であることがいくつか確定している)の手口のそれぞれに大きく関係している大本の方法がカメラによる捕手のサイン盗みです.外野のセンター後方に設置されたカメラを使って捕手のサインを盗む仕組みをアストロズの本拠地ミニッツメイド・パークに作り上げたというものです.それをダグアウト(ベンチのこと)の裏の職員に配信することで,解析し打者に伝えるというのが大筋の方法です.

この問題の大きな点は球団ぐるみでやっている点です.カメラの設置等はどうしても施工の必要があるため,球団の上層部による指示もしくは協力がないと球場に設備を作り上げることが不可能なのです.問題の深刻度がお分かりいただけたでしょうか.

では打者にどうやって解析の結果を伝えたのでしょうか.タイトルを覚えてくれている方はピンときたかもしれません.タイトル回収をはじめましょう.

ヒューストンの笛吹き男

口笛です.かなり原始的な方法と言えるでしょう.特定の球種に対して,口笛によって打者に伝えるというものです.原始的な方法ではあるのですが,個人的にはバレにくい方法だと感じました.理由としてはファンが口笛を吹くのはMLBの試合ではあまり変なことではないからですね.それに,観客席からの口笛なら球団と無関係を装うことができます.以下に検証の動画付きをおいておきます.口笛に注目.

変化球について馴染みのない人にはわかりづらいかもしれませんが,笛の吹き方によって球速・球種が違っています.こんな笛では子供たちはついてこないし,おそらくネズミは溺死させられない*3

宇宙ゴミ箱ドラマー

こちらも至って原始的です.ゴミ箱を叩く音で打者に伝えているわけです.ゴミ箱はダグアウトにあるのでダグアウトにいる選手がゴミ箱を叩くことで伝えられるんですね.こちらも少し聞こえづらいのですが音量をあげると聞こえます.

ジャングルビートでもやってるのかな?(すっとぼけ)

まだまだあるぞ

もう一つ,実は打者に振動を発する電子機器を使って伝達していた疑惑もあります.

落としちゃったかー😫

ではなくて,ちょっとやりすぎだぞアストロズ

現在の状況

調査開始

MLBが公式に調査に乗り出しています.しかもこの記事を書いている途中にもまだまだ疑惑が出てきています.

news.livedoor.com

ここまで事が大きくなるとオフシーズン中に解決するのかも疑問が残ります.先述の通りいくつかはすでに黒とわかっているのでどのような制裁が科されるのかも注目ポイントになってきます.

世間の反応

これだけやらかすと,当然ながら世間の反応はつきものになります.つい笑いを抑えきれなかったツイートを下に載せておきます.

アストロズの選手たちの丁寧なクソコラ切り抜き写真の合成動画です.個人的には笑顔の写真を使っているのがポイントが高い.

ちなみに意味は,

キャッチャー「よし2ストライクまで取れたぞ!*4球速を落とそう!」

アストロズのダグアウト「」

ということです. 球速を落とした球*5とはチェンジアップのことですね.

所感

記事の本題はこれぐらいにしてここからは僕の個人的な感想です.ちょっとやりすぎですね.ちなみに2017年段階でサイン盗みをやっていることが判明しており,2017年は僕がMLBで応援しているチームであるロサンゼルス・ドジャースアストロズワールドシリーズで戦ってドジャースが負けています.アストロズさあ...

今年はNPB(日本のプロ野球)でも自身が応援するチーム内からドーピング反応が出た選手がいたので,来シーズンはクリーンなプレイを見たいものです.

明日は

lanqiu君の競プロの環境構築の記事です.競プロ楽しいですよ.

*1:その年のMLB最強チームを決める戦いです.ア・リーグ優勝チームとナ・リーグ優勝チームが戦います.

*2:元はMLB最弱に近いチームでした

*3:今回のタイトルの元ネタですね.

*4:野球は3ストライクでアウト.2ストライクからファールならアウトにはならない.

*5:一見して遅いボールなら打たれると思いがちですが,速い球に慣れると遅い球にタイミングが合わなくて空振りしてしまうのです.